「ブランドなんか、いらない」という本を読んでみた。


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日本も小泉純一郎政権以前か、その後あたりに派遣社員が今日にいたるまでとても増え労働力も「安いほう、安いほう」と向かっている。「安いほう、安うほう」という発想は、消費者も向かっていて、雇用形態は「技術水準は低く、低賃金、高ストレス、不安定で疲れる職」となる。

 

 ブランド・サービス企業のほとんどは、労働者に法定最低賃金か、それより少し高い額しか払わない。それは、小売り労働者全体の平均賃金に数ドル及ばない。たとえば、アメリカのウォルマートの店員の平均時給は7ドル50セントで、ウォルマートは週28時間労働を「フルタイム」と定めているため、平均年収は1万920ドルである。これは業界の平均よりかなり低い。

(中略)

 一方で、マクドナルドやスターバックスの店員も、一般のレストランやカフェより少ない給料しかもらえていない。だからマクドナルドは、この使い捨て雇用形態「マックジョブ」のパイオニアとされる。すべてのファストフード企業はこの方式を熱心に真似している。マクドナルドが2人のグリーンピースの活動家に雇用政策を批判されて法廷で争ったイギリスの「マクリベル」裁判に関して、国際的に組合運動をおこなっているダン・ギャリンは、マックジョブを「技術水準は低く、低賃金、高ストレス、不安定で疲れる職」と定義した。
 結局、この裁判では活動家たちが有罪判決を受けたが、その判決文の中で裁判長のロジャー・ベルは、マックジョブに関しては被告は正しいと述べた。

(P.234-235)

 

ブランドなんか、いらない

ブランドなんか、いらない

 

 

昨今の日本の企業の発言力は、すでに政府を超えてしまい日本国民の生活をよくするというのではなく、単なる企業の「成長」しか考えていないと感じる。組合も作れない状態で企業へ私たちの賃金を上げて欲しいとは言えないのである。そこで浮かび上がるのが「やりがい搾取」。企業にとって低賃金で働かせるのには好都合だ。

 

最近はワタミやら居酒屋甲子園やら色々と取り上げられるが、どうやら日本だけではない。アメリカマンハッタンのボーダーズの店員の話によると…。

 

「会社は、キミたちは労働者ではない、もっと違うもの、労働者階級じゃない、と洗脳しつづける。……みんな、年に1万3000ドルしか稼いでないのに、自分たちは中流だと思っているんだ」。 (P.232)

 

今後の消費税増税法人税減税で企業はどんどん富を増やしつづけるであろう。リストラを行えば株価は上がり、ますます雇用軽視になる。しかし、企業が政府に支援を求める場合、もともと優良企業だからといって政府が安易に了承するようになれば、国民は更に貧しくなる。

 

利益優先で人権を無視している企業や国はいずれ酷いことになるだろう。

 

関係ない話(?)だが、昔のインターネットでゲートキーパー問題なんてのがあり、ソニーは1998年のGodzillaでも似たようなことをしていたんだなあと。しかし、人間を介した口コミは相当強い。いまのGodzillaはそうでないことを願う。

 

 98年に公開された映画「ゴジラ」も、まちがいなく成功すると思われていたシナジー計画だった。ソニーはマジソン・スクウェア・ガーデンでプレミアをおこない、6000万ドルのマーケティング費用を使って1年間にわたりプロモーションをし、強力な弁護士チームを編成してインターネットでの不快な悪宣伝をすべて潰し、その絶大な支配力で完璧にことを運んだと思っていた。ソニーが新しく映画館と提携したため、史上最多の映画館で「ゴジラ」が上映されたが、すべての活動は無駄になった。「ゴジラ」を観たほぼ全員が、友人に観ないほうがいいと警告し、みながその勧めに従ったのだ。(P195-196)

 

○追記
三菱UFJ 契約社員 60歳まで雇用 3年以上の勤務者対象
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014072502000239.html
https://archive.today/MKGmC

…というニュースがあり、「ブランドなんか、いらない」が出版された時期に、マイクロソフトには「終身派遣社員」というのがあったらしい。

マイクロソフトの終身派遣社員は、毎日、「シリコン・ゴールド」の資本主義の夢に対抗して腕に磨きをかけている。そして彼らは、誰よりも、そこには招待状がないと入れないことを知っている。だから、マイクロソフトの正社員がカルト的なことで有名になっても、終身派遣社員の憎しみは、ほとんどそれとは関係ない。会社に対してどう思うかとジャーナリストに聞かれ、こんなふうに言っている。「ゴミのように扱ってくれますよ」、「ここには二つの階級があるので。恐れと劣等感と嫌悪感が渦巻いています」。 (P.263)